紙幣 お札の鑑別 偽札発見 できるのか?


コスパから見ても 残念な機械



紙幣鑑別器の実態

結論から。
通販で購入可能な1万円前後から数万円の紙幣鑑別器は評価に値しないレベルと思われます。日本製であるかは関係ありません。

以下は鑑別器の判定ポイント。
自販機や両替機など機械が紙幣を識別する要素はおおよそ3種。
1.可視光線
2.赤外線
3.磁気
お札と偽札を鑑別する専門機なら加えて
4.紫外線反応 をチェックします。
言い換えるなら、これら4種の項目をチェックする方法がベストと考えます。ただし、何れもSクラスのハイレベルな偽札は本物と同等の仕様であるため、機械で紙幣を鑑別するには限界があります。

2018年(平成30年)現在、中国における偽札はATMから出回っているとの噂もあります。さらに、それらを裏付けるかのように鑑別器で中国紙幣に対応し「偽札判定」を絶対的な特長として告知している鑑別器も見当たりません。
単純な金種区別は可能でも、高確率で偽札を鑑別することは極めて難しいと思って頂いて間違いありません。

ダメダメな偽札鑑別器

上の写真は、鑑別器の中でもコスパ的にも操作性からもベストバイとは言い難い。

左右2機種ともに検査項目は可視光(普通のライト)によるすかしのチェック。ブラックライトによる紫外線反応(特殊インキ印)。磁気ヘッドによる磁気インクの有無を確認するものです。
卓上用で3種をまとめてチェック出来る点においては纏まりある機械と思えます。

電源を入れ、紙幣をセットします。ライトをつければ、すかしの有無をチェックできます。ブラックライトを点灯させれば、紫外線反応で真贋要素を確認することが出来ます。磁気ヘッドにお札を押し当て左右に動かせば、磁気インクが利用されている本物ならライトが点灯する仕組みです。

でも、昨今の偽札にはすかしが存在します。ブラックライトによる紫外線反応もスルーする巧妙な偽札は当たり前の存在です。磁気インクの有無については、複写機で作った偽札はトナーに磁性体が含まれているので紙幣に限らず磁気反応は起こります。
コピーで複写された偽札や、ページプリンターで作った偽札なら必ず磁気反応があるので鑑別要素としてはあまり意味がありません。すかしをチェックするなら、光源に紙幣を向けるだけのことです。紫外線反応をチェックするなら量販店から蛍光灯タイプのブラックライトを購入すれば千円前後でしょう。
売価として1万円前後、あるいは数万円と言う鑑別器は、おおよそこの程度のものであるこも分かっているため購入に魅力は感じません。

私にはこれら機械が利用される場面が想像つきません。
例えば店舗レジカウンター近くに置き、一枚一枚をチェックするのでしょうか? そんな事を日本でやったらお客様からは大ブーイングでしょう。
それともバックヤードにて売上集計時に不審な紙幣が出たらチェックするのでしょうか? 不審な偽札を個人が判定することにどれだけの意味があるのでしょうか。銀行や警察に持参するのが早道で確実ではないでしょうか?

計数機または類似な自動機は別として、人力操作し肉眼チェックするこれら機械は、接客中に1枚単位で行えるものではなさそうです。バックヤードで不審な紙幣を発見した場合に利用したとしても、Sクラスの偽札なら真贋は不可能に近く、また、インクジェットプリンターで作った粗悪なB級品なら機械に頼る以前にすかしをチェックする等、見た目でわかるでしょう。

比較的安価な鑑別アイテムにディテクターペン(DETECTOR PEN)があります。コピー用紙で作られた偽札に反応しますが、これも弱点があり対抗するのは簡単です。でも1本あたり数百円から千円前後であることもあり世界各国で利用されています。



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