新聞雑誌などで紹介された偽札を発見する「ペン」を実際に購入し使ってみました。ディテクターペン(DETECTOR PEN)といいます。 |
ディスカウントショップで900円、高価な鑑別機とは違い簡単に買い求めることができる価格です。 早速、私が作成した「ただの紙」に「ディテクターペン」を使った真贋チェックしてみることにします。 |
左下に小さく書いてみました。 本物であれば、黄色になり見えなくなります。偽札なら褐色(黒に近い)に変化することになっています。 |
下の写真(赤まる印)に注目してください。褐色になりません。 私の作成した「ただの紙」は、このペンの判定によると真券であることになります。最新の真贋判定機でも真券と判定された事を考えると「ただの紙」は、ある程度の精度をもった紙であり、機械や薬品から見ると真券であるとの判定結果になります。 |
コピー用紙(PPC)に書いてみました。反応は黒で偽札と判定されます。このペンはPPC用紙にも反応するようです。 薬品の詳細はわかりませんが、私が使用した紙への反応はみられません。実験の結果、判定ペンには能力の限界があることがわかります。海外のWebPageによるとヨウ素液をデンプンに付けたときの反応と同じでカラーコピー機で作った偽札なら100%判定できると記載もありました。 でも、この実験から見てもわかるようにカラーコピー機で作った偽札を発見できると豪語するのは問題がありそうです。 |
もし、ヨウ素液とデンプンの関係であるとすれば、その正体は呈色反応でしょう。 だとするならヨウ素液は直接買っても実験できますが、うがい薬のイソジンを100倍程度に薄めても作れます。 さらに反対の現象を得るなら酸化還元反応を利用します。漂白剤のように褐色を透明にすることも可能で、塩素中和剤のカルキぬき(ハイポ)を水で溶かせば作用を確認することができます。 問題なのはディテクターペンでついた色を消せてしまうと言う事実に加え、予めカルキぬき溶液に浸した用紙を乾かせばディテクターペンでは反応しない紙も作れてしまう点です。 以上の事実から次のストーリーが考えられます。 1)店主が店のレジに偽札らしいものを発見した。 2)ディテクターペンで検証する。→褐色に変化した。 ここで悪意有る店主が偽札をババ抜き状態で他の客に回すことを考えたとします。 3)カルキぬき溶液をディテクターペンでついた褐色部に塗る。 → 褐色は透明になる。 4)偽札を釣り銭として他の客に回す。 もちろん治安の良い日本ではあり得ないストーリーで妄想でしょう。でも、偽札の多い外国となれば注意するくらいで丁度いいでしょう。海外の観光地において高額紙幣を出すと店員が目の前でディテクターペンを使い真贋判定するのは当たり前の光景です。 でも、その実力は意外にも低いかもしれないと言うことは事実として知っておくべきでしょう。 |
ヨーロッパで多く使われているのがベルギーに本社を置く「Q-CONNECT」から発売されているディテクターペン。下の写真は実際にドイツはTennenbronnにあるスーパーのレジで使われているものを撮影させてもらいました。よく見ると「Moner Tester」と印刷されています。 もちろん偽札のチェックをするのは最新のユーロ紙幣です。世界中で利用される紙幣の中でも偽造防止策が最も多いとされるユーロ紙幣でさえ、その信頼性は高くない事がよくわかります。 |