中国偽札を見分ける方法


Sクラス 中国偽札は識別困難

中国偽札
以下写真は中国の偽札10元、20元、50元、100元です。*1
この偽札は吉林省に住む知人が経営する店のレジから発見したものです。何れの偽札も見た目には本物そっくりで、(ある意味偽札には慣れっこな中国人でさえ)気づくことなく受け取ってしまったとの事でした。*2

中国偽札10元 中国偽札20元

中国偽札50元 中国偽札100元


本物と偽物 100元札
上:偽物、下:本物、見ただけでは真贋判定は難しい。偽物としてのクオリティはSクラスです。
100元札を例に偽物と本物の違いを確かめます。

本物と偽物100元札


複製された偽札防止技術
(1) カラーシフティング  左:真券、右:偽券
紙幣表左下にある「100」、傾けると色が緑から暗い緑へ変化するのがカラーシフティングです。
偽物は輪郭など数字の内の模様(線)が不鮮明です。さらに傾けても色が変わることはありません。しかし正面から見たときの色合いや手触りは似ています。
カラーシフティング


(2a) すき入れ  左:真券、右:偽券
紙幣左にあるすき入れ(すかし)、光にかざすと毛沢東の肖像画が見えてきます。
偽札のすき入れは若干だが線の太さが違う。見比べると違いに気がつきますが偽札1枚だけを見たのでは真贋判定は難しでしょう。
すき入れ 肖像画


(2b) すき入れ  左:真券、右:偽券
紙幣左下にあるすき入れ(すかし)。場所はカラーシフティングの右側。光にかざすと100が見えてきます。
偽札は光にかざしても文字の輪郭は不鮮明。
すき入れ100


上:真券、下:偽券
偽札は光にかざさずに直接見ると100の文字をしっかりと見る事ができる。
光にかざさない場合は綺麗に見えるため一見すると偽札の方が本物かと勘違いするほどです。この事から偽札は100の文字を白で印刷しているのではないかと想像しています。
すき入れ100


(3) マイクロ文字  左:真券、右:偽券
マイクロ文字は文字や数字で描く模様の事。肉眼では線や模様にしか見えない。虫眼鏡を使うと文字や数字が見えてくる。
偽札には文字の「かすれ」があるもののマイクロ文字としては再現されていると言っていいでしょう。
マイクロ文字


(4) 安全線  左:真券、右:偽券
中国紙幣の安全線はホログラムで「\100」がプリントされ角度を変えるとキラキラと色が変わるフィルムが紙に織り込まれています。紙幣の表からは1本の線に見えますがウラから見ると糸の縫い目のようになっています。
偽札は銀色の100の文字が直接紙にプリントされていました。一見すると違いもわからず、また偽札の方が100の文字が読み取りやすいために、本物と勘違いしてしまうほどです。
安全線


(5) 凹版印刷  左:真券、右:偽券
紙幣表右側にある12本の線。凹版印刷とは、指で触るとインキの盛り上がりがありザラザラとした感触があります。
偽札は凹版印刷されていないために、一般の印刷やコピーのように感触はなくツルツルしています。但しこの偽札は紙に凹凸が施されているので、凹版らしい(はっきりはしていない)感触もあります(偽札写真の線右側に紙が波打っている)。
凹版印刷


(6) 特殊インキ  左:真券、右:偽券
特殊インキは、通常の可視光線の下では見ることができませんが、紫外線(ブラックライト)を使うことで確認できます。
偽札は輪郭があまく、また光も弱く感じます。但しこれも真券との比較で違いがわかる程度で、1枚だけ見たのでは真贋判断は難しいでしょう。

特殊インキ


(7) 合わせマーク(古銭貨幣デザイン)  左:真券、右:偽券
発行時期で場所は異なりますが、表面左中央または表面左下側にある丸型のデザイン(古銭をモチーフにしたもの)、光にすかすことで表と裏のデザインが重なると古銭図案になります。素人が複写機などで偽造紙幣を作ろうとするとどうしても裏と表にズレが生じます。この偽造防止技術で裏表にズレが無ければ真券である証明としたかったのでしょうが、残念ながら偽札もズレはなく素人目に真贋判断は難しいでしょう。
但し、若干ですが偽札は印刷のシャープと色合いに弱さがあるようです。

表面   左:真券、右:偽券  真券はオレンジに近い色。
古銭貨幣デザイン 表


裏面   左:真券、右:偽券
古銭貨幣デザイン 裏


透し   左:真券、右:偽券  真偽ともにズレは無い。
古銭貨幣デザイン 透視


図案の元になった古銭(例)
古銭


(8) 潜像模様  左:真券、右:偽券
潜像模様は見る角度を変えると文字が見える偽造防止技術。
1列目から2列目の写真は角度を変えて撮影しました。真券は変化ありませんが偽券は「100」が見えてきます(偽券は軽く紙幣を傾けるだけに「100」が見える)。
真券は限りなく紙幣を水平にしないと「100」の文字が見えてきません(写真下)。この微妙な違いは偽札の方が理解しやすく勘違いしそうです。

潜像模様

潜像模様



考察
凹版と安全線以外の偽札防止技術は複製され、精度だけに違いがあるように思えます。
観光など現地でおつりとして渡されたらきっと気がつかず偽札をつかまれてしまうでしょう。現時点では手にしたお札の凹版部位をチェックし真贋判定要素とするのが良いでしょう。偽札防止技術の「すかし」「ホログラム」「マイクロ文字」「特殊インキ」「古銭貨幣デザイン」があるからと言って真券であるとの判断は危険です。
当ページでは引き続き真贋判定要素について観察していきます。

中国へ旅行される方は是非とも事前に本物の中国人民元を確認することをお勧めします。


*1 偽札真贋は公的な検証は受けていません。あくまでも独断によるもので「偽札だろう」程度の結論です。
*2 情報と写真のみの入手なので記載以上の内容については不明です。
注) 掲載画像は複製悪用防止のため色数解像度を下げ記番号を削除しました。


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