紙幣につけられた鍵(偽造防止 2)

すかし すき入れバーパターン 赤外線


すかし
「白すかし」「黒すかし」(専門的には「すき入れ」と云うそうです)の2種の技法があります。紙の厚みを変化させる事で図柄を表現しています。昭和22年「すき入れ紙製造取締法」により規制され政府以外で「すかし」を作ることは出来ません。
但し、「白すかし」(白すき入れ)は政府発行物以外であれば規制対象外となるそうです。

左はE券の福沢諭吉、右はF券の渋沢栄一だが背景に模様が追加されている。
E券 すき入れ F券 すき入れ


すき入れバーパターン
平成16年11月に発行された野口英世、樋口一葉、福沢諭吉のシリーズE券には「すき入れバーパターン」が施されました。すき入れは縦棒で千円札/五千円札/一万円札で本数が変わります。
2024年(令和6年7月3日)に発券された1万円札(渋沢栄一) 、五千円札(津田梅子)、千円札(北里柴三郎)はF券でも同様です(下の段)。

千円札すき入れバーパターン 五千円札すき入れバーパターン 一万円札すき入れバーパターン

千円札すき入れバーパターン 五千円札すき入れバーパターン 一万円札すき入れバーパターン


赤外線
赤外線をあてた紙幣を暗視モードにしたカメラで撮影するとお札の図柄にマスキングされているのがわかります。
上がE券、下がF券です。
赤外線反応 表 赤外線反応 裏

赤外線反応 表 赤外線反応 裏

通常の光で見る「五千円」「千円」の文字は赤外線をあてたカメラで見ると一部が見えなくなります。文字だけでなく、図柄の一部も消えています。
下の写真を比較してご覧ください。まるで印刷ミスのような赤外線反応です。デザイン的には最悪です。もう少し何とかならなかったのでしょうか。
もちろん、可視光線と赤外線反応の違いは意図あって組み込まれた仕様です。赤外線センサーで反応の有無をチェックし真贋と金種判定に利用する一石二鳥なからくりです。
上の写真はE券 下の写真はF券です。

赤外線反応 E券

赤外線反応 F券


からくりは簡単です。下の写真をご覧ください。
「サインペン」と「えんぴつ」で書いた文字を可視光線と赤外線で撮影しました。インクにより赤外線反応が変わるのがご理解いただけましたでしょうか?
暗視カメラと言っても特別なカメラではありません。市販されているムービーカメラに搭載されている「ナイトショット」等のモードにすれば簡単に確認することができます。

赤外線反応 えんぴつ 


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